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記憶のメカニズム

人間の記憶には簡単に覚え簡単に忘れる「短期記憶」と確実に覚える「長期記憶」というのがあるそうです。(感覚記憶もあわせ記憶は3つに分類される)

日常的な出来事や、勉強して覚えた情報は、一度「短期記憶」として脳にある海馬(かいば)というところで整理整頓され、ファイル保管されて、その後「長期記憶」として大脳皮質にためられていく仕組みのようです。

そして「短期記憶」は簡単に忘れてしまい「長期記憶」になって初めて確かな記憶になります。

例えば、とりあえず覚えた電話番号を翌日に思い出そうとしても、普通は思い出せません。でも繰り返し何度も復唱したり、紙に書いたり、言葉に出して覚えると初めて記憶は確かなものになります。ですから短期記憶は簡単に忘れてしまい、長期記憶になって初めて覚えたことになるのです。そして「短期記憶」から「長期記憶」に至る過程で重要な役割を果たしているのが海馬(かいば)だと言われており、また逆に長期記憶から記憶を引き出す時や、長期記憶を照会する時にも海馬(かいば)が活発に活動し重要な役割を果たしています。

では、海馬(かいば)にとっての「短期記憶」がいつ「長期記憶」として大脳皮質にためられるかが重要になってきます。そしてそれは30日くらい過ぎた頃とわかっています。海馬(かいば)はとりあえず何でも記憶をしていくのですが、忘れるのも早いのです。それはその記憶が「大事なもの」か「大事でないもの」かを峻別(しゅんべつ)し、そうでないものは捨ててしまおう(忘れてしまう)と海馬(かいば)は判断するからです。

そんな海馬(かいば)でも、30日くらい繰り返しによって記憶された「短期記憶」は、「大切なもの、大事なもの」と判断してしまうのです。そして、「長期記憶」として初めて大脳皮質にためられているのです。一度ためられた大脳皮質にとっての記憶は、日本銀行の金庫にしまわれた現金のように安全に確実に「長期記憶」としてしまわれています。こうなれば占めたものです。ですから日本銀行の行員である海馬(かいば)を信頼させてしまえばよいのです。

ですから、海馬(かいば)を信用させるために、繰り返し、繰り返し覚えてください。

◎30日は定期的でも不定期でもいいから繰り返す。

また、海馬(かいば)がダメになると、私たちは新しいことが覚えられなくなり、昔のことは覚えていても、新しいことはすぐに忘れてしまうことになりますので要注意です。海馬(かいば)はとても繊細で壊れやすくデリケートなものであることを理解しなければなりません。酸素不足で脳がダメージを受けるとき、最初に海馬(かいば)あたりがダメージを受けるようですし、強いストレスでも海馬(かいば)は壊れてしまう性質があるようですので、本当に大事に使ってください。

ですから暗記学習の時は、深呼吸などで呼吸を整え、リラックスをして臨み海馬(かいば)を働きやすくすると、効率よく覚えられるということは誰でも納得いただけることだと思います。

東京大学の合格にはインプットと即応のアウトプット対策の両輪が必要です。暗記モノは早い時期に対応済みにしておこう!


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