東京大学合格に役に立つ話
偏差値には壁がある
偏差値にまつわる話として、受験関係者の中で多く語られるのが偏差値の壁です。それは、偏差値には壁があり、高い偏差値を獲得するためには、偏差値の壁を超えなければならず、1つ壁を越えるとさらに上にも次の壁があるものであるという話です。
偏差値40台の人にとっては偏差値50は壁だと思います。なかなか50の壁は越えられないのです。(瞬間風速的に超えられたとしてもやはりまだ)何度でも壁にぶつかります。でも、日々の努力が実って、ある時50を越える時が来ます。そして、50の壁を越えると次は60(の壁)なのです。(55が小さい壁の場合もありますが)さらに努力を重ねると、40台で50の壁を意識したことと同様に、60の壁を意識すると思います。そして次の壁は65です。50から60までは意外と順調に来たとしても、60の次は70では無く65の壁があなたの前に立ちふさがります。そして、65からは偏差値1~2が壁で、なかなか70までたどり着けません。しかしいつかはその70を越えて、75までたどり着けます。
仕事柄、いままでに75以上(場合には80以上)の模試の成績に接する機会が何度もありましたが、75以上の模試の結果をみるのは何度見ても気持ちがよいものです(さすがにめったにはなかったことですが、模試で1番の成績を取った人もいました)。その成績を獲った人はもちろんですが、見せてもらった人もうれしい気にさせるものです。それは模試の成績優秀者(文字通りの成功者)のパワーをお裾分けしてもらった様な気持ちになるからかもしれません。大げさな言い方ですが模試の結果から後光が差しています。
そして、偏差値65をとる勉強と偏差値70をとる勉強は、原則的には同じものですが、やはり偏差値70以上をとる人は日々の勉強の心がけはあきらかに違うように感じます(但し、ほとんどの人が最初から偏差値70以上とれたわけではなく、偏差値の壁を何度も乗り越えてきた経験があるのです)。
また、東大合格をねらう場合、総合で偏差値70以上確保を目安と考えている人が多いようですが、偏差値65でも東大は狙えるということをここで付け加えたいと思います。しかしそれには条件があります。それは、受験教科のすべての教科で偏差値65以上(少なくとも偏差値65)を確保することが必要だということです。すべての教科でまんべんなく65以上(もちろん65でオッケーです)とれれば、最難関である東京大学も合格できます。総合で偏差値70をとることにこだわるより(70をとることは、65の壁からさらに何段階か壁を越えなければならず、なかなかの至難です)、偏差値65をまんべんなくとることの方が目標の設定がしやすく、はるかに現実的です。
勉強の成果が出てくるまでにはタイムラグがある
多くの受験生に共通する悩みとして多く寄せられるものがあります。それは、最近頑張っているのに成績が伸びない。近頃どうしてもどうやっても模試の結果が出せない。真剣に受験勉強に取り組んでいるのに合格の判定がいつも通りである。更に深刻なものでは、あんなに頑張っているのに成績が上がらないどころかむしろ逆に悪くなってしまった。なかには極めつけに深刻なケースでは、体調が特に悪いわけでもなく、勉強もしっかりしていたにもかかわらず本試験までいよいよ半年前を切った模試の偏差値を総合で15以上下げてしまい、受験断念を真剣に相談されたこともありました。
でも、安心してください。こんなことは誰にでもあるものです。よくある話です。
前述の偏差値15以上下げてしまった人は少し極端な例でしたが、その生徒さんも1ヶ月半後の模試で見事リベンジし、元の成績に戻すどころか、周りもビックリの過去最高の成績を記録しました。そしてこの人がやったことは特別な事ではなく、誰でも出来ることをやっただけなのです。
それは焦らないこと(焦るとかえって良くないことは誰でも分かっていることです。それでも焦ってしまうのが人間です。そして焦らないということは意外と難しいことなんです。ですから焦らないと言うよりも、焦ってはいけないと何度も自分に言い聞かせるのでかまわないのです)。自分を信じること(成績が下がる理由は無いのだから、次も同じ成績のはずはないと自分に言い聞かす)。そして、いつもどおり過ごすことでした。(実際数日後には平静をとりもどしたかのように日々の勉強のペースになりました。内心ではいろいろと葛藤はあったと思いますが、成績が下がったショックを受けていたときとはあきらかに違い、いつも通り普段の落ち着きを取り戻していました)。ですから、成績が下がったからといってあわててはいけません。かならず元に戻りますから。
上記のように、勉強をして成績が変わらない。頑張っているのに更に悪くなってしまった。なかなか努力が成果に結びつかない等、努力が成果に結びつかないと悩むときがあると思いますが、そんなときには前述の生徒さんのように、焦らないこと、自分を信じること、いつも通り過ごすことの3つを是非実行してください。成績が下がって落ち込んでいるときに、この3つを実行することはある意味で力が必要なことですが、3つのことを実行する意味をよく考え心を落ち着かせ実行してください。
少し横道にそれてしまいましたが、前述の生徒さんの場合、3つのことを実行するに当たっては、あることを付け加えて説明した上で3つのことを実行してもらったことを語らないわけにはいきません。そのあることとは、このタイトルでも分かるように、成績が伸びるのには(努力した結果が出るのには)タイムラグがあるということを理解することです。そしてこの生徒さんはタイムラグがあることの説明を聞くと、最近努力した結果(夏休みは本当に頑張ったのです)はもう少し後に成果となって現れることが理解できたのか、一応の平静を取り戻すことが出来ました。
ですから、成果が出るのにはタイムラグが存在するということをあなたには是非知っておいてもらいたいものです。成果というものはすぐには現れない場合が多いものなのです。どんなものでもそのように簡単にできたら人生おもしろくないですよね。一朝一夕にいかないから皆努力しているのです。
また、余談ですが目の前に立ちふさがる障害・困難が大きければ大きいほどに、今直面している問題が数が多ければ多いほどに、その障害・困難を乗り越えた時や直面していた問題をすべて解決した時に、障害・困難・問題が大きければ大きいほど大きな満足感や達成感が味わえるという話を聞いたことがあります。ですからあなたも困難や問題を抱えたときなどは、障害を乗り越えた時、問題を解決した時に大きな満足感や感動の達成感を味わえることを期待想像しながら努力していくというのも問題解決にはいい考えかもしれません。
そして、タイムラグを知っていれば、焦ることは少なくなると思います(焦ることで良いことはなにもありません)。
タイムラグに関して、受験関係者の話の中でタイムラグは2ヶ月ぐらいの場合が多いとよく聞きます。どういう事かというと、たとえば7月8月の夏休み、たっぷりとある時間を生かし、一念発起の上、朝から晩まで受験勉強に邁進し、無事充実した夏を終えた受験生がいるとします。両親からも夏の頑張りを褒められたり、友人からも学校の先生からも、こころなしか暖かい視線を感じるなど、夏の成果にはある程度の手応えを感じていました。
そして、その成果を確認するために、夏の後半や9月に入って実施される模試に自信をもって臨み、その結果には大きな期待をよせていたのにもかかわらず、後日受け取った成績表を見て大ショック。夏休みの努力が実った結果とは思われない内容で、秋以降にはずみをつけようと大きくふくらんだ淡い期待も微塵に砕けてしまったなどというのはままある話です。また、人によっては結果は少しだけ成績が伸びたが、期待ほどでは無かった。また別な人は成績は全く変わらなかった。いや、前述の生徒さんのようにむしろ成績が下がった人もいます。
こういったケースでは、夏休みの努力では違いが出ていないのか、という疑問が浮かびますがそうではないのです。結果、違いは出ているのです。ただ、タイムラグのいたずらがあるのです。ほとんどの場合10月や少なくとも11月には時間差で結果が出せるものなのです。ですから、成績が全く変わらなかった場合でも安心してください。努力は報われるものなのです。今回成績が変わらなかったことは、嵐の前の静けさのようなもので、成績がガッと行く(上昇する)前兆だと思うようにしてください。
また、むしろ成績が下がってしまった人も、焦ったり、苛立ったり、じれたりせず、タイムラグのいたずらなんだと成績の結果を頭の中で流してください(考えを捨ててしまってください)、そして忘れてください。また、これらのことはほとんどの人が一度や二度は悩んだ経験があるものです。ですから焦ったり、苛立ったり、嘆いたり、悲しんだりは厳禁です。ましてや最悪の場合、自暴自棄になり、受験を放棄なんてもってのほかです。肝に銘じてください。
以上タイムラグの話をしましたが、これまでを上昇のタイムラグといいます。
そして、上昇といえば下降ということばもあるように下降のタイムラグもあるのです。このタイムラグはくせ者ですので次項で説明します。
下降のタイムラグは怖い
タイムラグには上昇と下降があることを知っておいてください。特に下降のタイムラグには注意が必要です。
下降のタイムラグとは、勉強をさぼった結果にあらわれるものです。そして、タイムラグの潜伏期間は下降は上昇のタイムラグより少し短いようです。(下降のタイムラグはだいたい1ヶ月の場合が多いようです)
つまり、成績降下は易く、成績上昇は難いということです。(成績の降下は成績の上昇よりすぐに現れる)努力した結果はなかなか出ないが、サボった結果はすぐに現れます。
そして、サボった結果はすぐに現れるとしても、少しタイムラグがあるのです。このタイムラグの怖いところは、受験勉強に手を抜いてとしても上昇のタイムラグと同じように、サボった結果としての成績降下もタイムラグをおいて現れる場合が多いので慢心を誘ってしまうことです。つまり、直ぐには成績が下がらないので、「さぼっても思ったより成績が下がらなかった」 と軽く考えてしまい、「少しぐらいならいいかと」と思う気持ちの油断が油断を呼び、ついついとサボり癖がついてしまうことなのです。
また、サボった結果として当然ついてくる成績の下降(もしかしたら大幅な下降)は、結果としてやる気を損ないます。気持ちが乗らない状態が増えます。やる気が下がると、成績はさらに下がり、成績下降の負のスパイラルに陥ります。まさに悪循環です。ですから下降のタイムラグは怖いのです。
サボった時間を取り戻すのに3倍の日数が必要である
また、サボった時間と同じ時間では成績をもとに戻すことが出来ないと言うことも忘れてはいけません。サボったことを取り戻すのに、一般的な経験値では勉強しなかった日数の約3倍の日数が必要です。例えば1日サボった場合3日、1週間サボって下げた成績を元に戻すのに約3週間以上にかかるということです。ただでさえ、大学受験は時間との戦いなのに、ちょっとサボった遅れを取り戻すのに残された貴重な時間からその3倍の時間を割かなければならないと言うことの事の大きさを考えて、サボる場合は心してサボってください。
付記 勉強方法を見直し
タイムラグの話をしましたが、これを読まれた人の中には本当に頑張って勉強しているのに、いつまでもたっても成績が上がらないという人もいると思います。長めのタイムラグだと考えたとしても、成績が伸びないと言う人は、これは明らかに勉強方法に問題があると考えてください。まじめに勉強して成果が出ないなどという事は基本的にはありません。まじめに勉強して成果が出ない場合の理由は、勉強方法が悪いか、相対的な成績(偏差値等)でその人より周りの人の努力の方が上回る場合の2つ通りしかありません。
理屈は追っかける
タイムラグに関連して、もうひとつお伝えしたいことがあります。それは、「理屈は追っかける」、「理屈は後で追っかけてくる」ということです。「理屈は追っかける」、「理屈は後で追っかけてくる」という意味が分からない人は多いと思いますが、あなたはいままでに、学校、塾、予備校等の授業中ではよく分からなかった概念等が翌日などに、特に復習したわけではないのに、ふっと気がついたら、その概念が理解出来ていたり、たまたま復習のつもりで前回理解出来なかった内容の問題が簡単に解けてしまったということはなかったでしょうか?
これは、授業等で頭の中にインプットされた知識や概念等が、あなたにとっては無意識の中で、あなたの脳がこつこつと知識や概念を整理整頓する作業を行うことにより、あなたが特に意識をしていなくてもあなたの脳があなたの代わりに勉強をしてくれた成果なのです。そしてこれが「理屈は追っかける」、ということで、「理屈は後で追っかけてくる」といううれしいタイムラグもあると言うことなのです。